リーダーの「任せる」について
組織のリーダーは、今の時代、
「自分の思い通りにメンバーを動かそう」と思ってはいい組織にならない。
だからこそ、メンバー一人一人が、思うようにのびのびと自発的に、
動いていくように、なるべく口は出さない。
というような話をよく耳にします。
でも「任せる」時に気をつけないといけないことがあるなあと感じます。
「任せる」というのは「意見を言わない」ということとは異なる、
ということです。
ちいさな会社のリーダーが社長である場合はなおさらです。(今回は小さな会社の話ということで)
それは、やはりなんだかんだ言っても、最終責任者は社長だからです。
メンバーの選択が自分の本当に大切に思うものとは違う、、、・
私の経験の中でも、クライアントさんの中でも、
任せたんだから、メンバーの考えることには従う
というようにおっしゃる社長さんが結構いらっしゃいます。
つまり、自分が意見を言ってしまうと、
自分の意見で決まってしまうから、
極力、自発性を高めたり、責任感を持ってもらうために、
意見は言わないようにしているということです。
でも、やはり任せたメンバーが行っていることや、
目指しているものに、どうも違和感を感じる、、、
というってあると思うのです。
これって、どう思いますか?
私はこれって、そう思うのも、正直無理もないよなあ~と思うのです。
なぜ無理がある!?
それは、書籍『メンバーを戦力化する心の公式』にも書かせてもらっていますが、
社長の心の中に、「違和感」というマイナスな気持ちがあるのに、
「任せる」というプラスの行動をとったとしても、結果はマイナスになる、
つまり上手くいかないということになるのです。
考えてもみてください。
特に創業社長や小さな会社の社長様は、
もともとはご自身の”思い”で立ち上げたり、経営してきた会社です。
ただ単にもうかればいい!というよりも、
もっと、自分自身や従業員、仲間と共に、社会や世の中をもっと「こうしたい!」と
思って立ち上げ、ここまで会社を育ててきたと思うのです。
そして、その強い思いがあったからこそ、
今日があるというものです。
一方任された方は?
一方任された方は、
任されたことに意義を感じ、メンバー毎に一生懸命に自分なりに考え、
頑張っているはずです。
しかし、人間というのは、一人一人ものの見方や捉え方が異なり、
自分の思う通りに物事を動かそうとする性質の生き物ですので、
いつの間にか、自分の思う最善の方法をとり、
社長の思いと違うことをやっている
なんてケースも十二分に起こりえるのです。
よく、ここで、このような状態にならないように、
ミッションやビジョン、そして、バリューといった価値基準や行動指針があれば、
大丈夫といったりします。
しかし、実は、そのミッションやビジョン、そしてバリューも、
本当に異なる捉え方が出来ないくらいにより具体的でないと、
抽象的な言葉を使えば使うほど、解釈も人の数だけ存在してしまうので、
実はとても難しいのです。
では、どうすればいいの?
ということを考えた時に、私なりに大切にしたらよいと思うことは、
「任せる」のではなく「一緒に」という考え方です。
(繰り返しますが、特に小さな会社の場合です)
つまり、完全に任せるというよりも、一緒にやろう!
という考えで進む事です。
つまり、社長やリーダーも、一人のメンバーとして意見は言います。
ただし、その自分の意見を押し付けない、正しいと決めつけない、
また、当然メンバーの意見もしっかりと耳を傾け否定しない、
というような、心構えを持ちながら、話し合い等に参加していく
という姿勢が大事かなと思います。
本当は、小さな会社なのでしたら、
わざわざ一緒に考える必要はないかもしれません。
なぜなら、圧倒的に社長一人で決断して、
その実現のために、メンバーに動いてもらえばいいだけですから。
でも、そうすると人は育たないし、すぐに辞めてしまったりするのです。
これでは社長やリーダー自らの目標の達成はできません。
だからこそ「任せる」のではなく「一緒に」というスタンスをとるのです。
気付いた時に違和感が大きくクローズアップするのではなく、
そうなる前に、社長(リーダー)も、メンバーの一員として、
自分の思いや意見もしっかり伝えながら進め、
途中途中ですり合わせも行いながら進めるのです。
そうすると、大きな違和感を感じる前に、軌道修正もできたり、
納得のいく結論になっていくと思うのです。
(だた、なかなか「一緒に」と本人が思っていても、
相手にそう感じてもらえるようになることが、
難しいところだったりします。)
でも、このようなスタンスを取り続けていくことで、
だんだんと相乗効果も発揮できるのではないかと思います。
だからこそ、正直な自分の気持ちを感じ取る習慣、
そして、日ごろから人と自分の違いを認める習慣、
そして、第3案で相乗効果を出していこうという習慣、
これらを、大切にしたいところだと思います。
そういう日々をおくりながら、ミッションやビジョン、
バリューというものもメンテナンスしていけば
良いのだと思います。